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2023.05.25 | コラム&社員インタビュー《55周年》
【55周年記念コラム】Series2(1)
お陰様でカドリールニシダは今年で創立55周年を迎えました
この節目に当たり、現在まで長年カドリールと歩んできてくれたパタンナーやデザイナーに感謝の気持ちを込めて、バトン形式でカドリールでの思い出や今後への期待を語ってもらうコラムを掲載いたします。
それぞれのカドリールでの思い出とともに、当社の歩みを感じ取っていただければ幸いです。
シリーズ第2弾は、勤続20年のパターン研究所 久保田浩之氏にカドリールとの出会いと、カドリールのパターンナーとしての仕事やこだわりなど数回にわたってご紹介します。
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・ ・ ・- Profile 久保田 浩之(勤続20年)
2003年入社、パタンナーとしてデザイン研究所(のちのパターン研究所)に勤務。
他社にはない作図による設計技術で脇からボディを支えるパターン理論などを確立した当社パタンナー堀江氏のパターン設計製図法の継承に従事する。
また、それのみにとどまらず設計理論に基づいた上で、要望される(新しい)デザインパターンの具現化や新たな製図法の確立に努め、特に新規の開発に注力しベストセラー、ロングセラー製品のパターン開発に取り組む。
カドリールのパターンとの出会い
私がカドリールに入社したのは約20年前。カドリールニシダのパターンの第一人者である堀江氏より「原型製図の理論*(詳しくは次節で)が難しいためか、なかなか継承者が続かず、伝承がうまくいかないので、やってみないか」と声を掛けられたことがきっかけでした。「それほど難しいなら逆にやり甲斐がある」と思い、モノづくりが好きなこともあり、堀江氏から2、3の適正テストを受けたのち、それまでの営業職を辞して週1~2日、 堀江氏の自宅兼アトリエでの原型製図の勉強がスタートしました。
始まってすぐの頃に、ある問題を解くように指示されました。図学を勉強した経験など全くなかったのですが 「書籍やネットで答えを探せば見つかるだろうが、考える力を養うための課題であり、ただ正解を提出するだけが目的や本質ではない。決して図学のテキストなどをカンニングせず自分で答えを見つける」と決めました。外を歩いている時でも電柱を三角錐に見立てて、どう考えればよいのかと思考を続け1週間後の訪問時に正解を出せました。その問題がコレです。
「三角錐に円柱を貫いた時にできる三角錐の貫通部分の形を求めよ。」
- 教えられた手順を覚えて、毎日その通りに何度も繰り返し製図をするだけから、海外の下着雑誌を見て“このデザインを製図するなら、どの製図方法を利用してどう応用すればパターン化出来るか” を考えて取り組み始め、教えられた範囲内では具現化出来ないデザインにも遭遇することになり、自分で製図方法を考え試してみるようにもなりました。自分の考えは堀江氏からはなかなかOKはでませんでしたが、自分で考える力を養うということにおいて大きなプラスになったと思います。
カドリールの『原型』について
- カドリール製品の基準となる製図を私たちは「原型」と呼んでいます。
弊社の製品は、この原型製図をもとに、顧客様のご要望に合わせたデザインにアレンジしてお作りしています。また、基準となる型紙を元に各サイズの型紙を作ることを「グレーディング」といいます。
このデザインにアレンジする方法も、グレーディングの方法も弊社独自の考え方に基づいた製図ルールに従って製図します。
私の所属する「パターン研究所」について
私の所属するパターン研究所の特別で大きな課題のひとつは、カドリールでいわれる「原型」いわゆる元型(もとがた)を完成させること。「新しい原型」を設計することがメインになります。
- そのため製図をしたパターンのペーパー模型を作って立体のバランス、カタチ、そしてラインなどを確認したあと、サンプル縫製・フィッティングを繰り返し行い、「バランス」を追求していきます。布とは違いある程度ハリコシのある紙で模型を作ることにより、バランスや特徴(クセ) が確認しやすくなるのです。
そして もうひとつは、「原型」から様々なデザインのパターンやサイズを展開させる製図の方法を構築させることが挙げられます。
このカドリールの設計製図の考え方が、非常に良く考えられたものであるから、探求を続け正しくアプローチすることによって少ない試作で完成に至ります。また女性方の協力なしには出来上がりません、それに助けられています。
≪次回に続く≫