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2023.07.14 | コラム&社員インタビュー《55周年》

【55周年記念コラム】Series2(2)

お陰様でカドリールニシダは今年で創立55周年を迎えました

この節目に当たり、現在まで長年カドリールと歩んできてくれたパタンナーやデザイナーに感謝の気持ちを込めて、バトン形式でカドリールでの思い出や今後への期待を語ってもらうコラムを掲載しています。
それぞれのカドリールでの思い出とともに、当社の歩みを感じ取っていただければ幸いです。
シリーズ第2弾は、勤続20年のパターン研究所 久保田浩之氏にカドリールとの出会いと、カドリールのパターンナーとしての仕事やこだわりなど数回にわたってご紹介します。
今回はその2回目。パタンナー久保田氏がずっと守り続けてきた❝仕事の流儀❞について語ってもらいました。

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  • Profile 久保田 浩之(勤続20年)
    2003年入社、パタンナーとしてデザイン研究所(のちのパターン研究所)に勤務。
    他社にはない作図による設計技術で脇からボディを支えるパターン理論などを確立した当社パタンナー堀江氏のパターン設計製図法の継承に従事する。
    また、それのみにとどまらず設計理論に基づいた上で、要望される(新しい)デザインパターンの具現化や新たな製図法の確立に努め、特に新規の開発に注力しベストセラー、ロングセラー製品のパターン開発に取り組む。

aspengrovestudios icon20年間変わらない仕事の流儀

1⃣無理とは言わない。どうすれば要望を具現化することができるかを考える

「こういうものを作ってほしい (パターン化してほしい) 」という依頼に対して、簡単に「こんなの無理」と答えない。

「難しそう・失敗しそう・無理そう」だから止めておく、ではなく、どうすれば要望を具現化することができるかを考える。(2⃣4⃣につながること)

2⃣固定観念にとらわれない

本質を正しく見るために、新しい可能性をモノ創りに生かすために、固定観念・既成概念・先入観を捨て、常に、フラットな状態で見ることが大切。そのため、私は常に以下のことを自分に問いながら製図をしています。「これで正しいのか、もっとベストな方法があるのではないか」という疑問をもつこと。「この仕様やこのカタチは良いフィッティングのモノは造れない」と一般的に言われているものでも、それを鵜呑みにせず自身で納得いく結論が出るまで自分のやり方で取り組んでみる。アプローチの仕方が変われば完成できるかもしれない。そうなれば市場にないモノを創り出せる。ちょうど、こんな話を聞いたことがあります。

ある自動車メーカーの話ですが、ガソリン車ではなくハイブリット車という新しいエンジンの開発のチームリーダーにベテランではない技術者を抜擢した。その理由が、❝ベテランは経験からくる固定観念にとらわれてしまう❞ からというもの。「この方法はうまくいかない」等決めつけてしまうことなく、思考のまっさらな状態で臨むことが新しい発見発明開発に結び付くというひとつの例。「すでに存在する方法を何も考えずに利用すれば楽かもしれないが、それに甘んじず作り直す覚悟と実行力をもって破壊と修正、それを繰り返すことが重要」というのが今も変わらない私の製図にあたっての信念です。

3⃣「変えるべきでない大事なものを守り抜くために変わる」 ことを恐れない。 

みなさんは「不易流行」という言葉をご存知でしょうか?

もとは芭蕉の俳句の作風における理念の一つを表す言葉ですが「いつまでも変わらない本質的な物を大切にしながらも、新しい変化も取り入れること」を意味する言葉です。これは、カドリールの「原型製図の理論」を守る姿勢にもあてはまることだと思います。つまり、いま在る「原型」やいま在る製図方法で、要望を具現化することができないときに、この方法では無理だとすぐにあきらめ他の手段に(すがるのではなく)原型製図の基本の考え方はブレないように、しかし先入観にとらわれないように、新しい「原型」を創り、デザインにアレンジする製図方法を考えること。

また本質である「原型」を守るためにも、変えてよい部分は積極的に変えていくことを恐れないことも必要だと考えます。

4⃣失敗を恐れない。失敗による評価のダウンなどに左右されない

失敗も要因が判れば成功の要因に気づける可能性が生まれるので、チャレンジを続ける。失敗も、収集できたデータの1つだと考えて有益につなげる。

5⃣言葉でごまかさない

完成に至っていない、或いは不具合な部分を妥協の言葉でごまかさず、真の確立を目指す。

6⃣スピードを意識

最近では、手で製図をすることよりCADで製図する方法の方がポピュラーになりましたが、カドリールでは、手で製図したものをCADに取り組むという工程を今も守っています。それは、1本のラインを修正する場合でも他のパーツとの関係性を確認しながらバランスを保つ形で修正できる製図方法なのです。
また原型理論に基づいてグレーディングされる場合、基準サイズの安定した良好な全体のバランスをキープしたまま他のサイズが作り出される考え方のため、大きな修正を必要とせず少ない検討回数で完成に至れる理論となっています。
しかし、「パーツ単体」で修正を加えると、他パーツとの関係性が変化して全体のバランスが崩れてしまうことにつながります。また同じように、各々の「パーツ単体」毎でのサイズ展開で、全体の関係性を崩さずにグレーディング出来るかどうかという問題が生まれます。

「バランスこそが重要」という考え方が弊社の原型製図の大きな特徴となります。

7⃣逆境の時にも諦めず、やるべきことを踏みとどまったり方向性を変えたりしない

8⃣「女性の協力があってこそ創ることができる」ということを忘れない

女性が主役ゆえに女性の視点からの改善点が必要不可欠です。

aspengrovestudios icon今後の抱負

  • この製図方法は探求を続け正しくアプローチすれば、フィッティングの良い、且つあらゆるデザインのパターンを早く創り出すことが出来る可能性を大いに秘めていると感じています。今後も、本当の思考力を身に着けるためにも失敗を恐れず、もっと探求を繰り返して考える力を養い、新たな発見が実製品に活用できるように注力していきたいと同時に、それを次に続く人に繋げていきたいと思います。

≪次回に続く≫

【55周年記念コラム】Series2(1)はこちら
【55周年記念コラム】Series2(3)はこちら

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