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2022.09.09 | コラム&社員インタビュー《55周年》

【55周年記念コラム】Series1(2)

お陰様でカドリールニシダは今年で創立55周年を迎えました

この節目に当たり、現在まで長年カドリールと歩んできてくれたパタンナーやデザイナーに感謝の気持ちを込めて、バトン形式でカドリールでの思い出や今後への期待を語ってもらうコラムを掲載いたします。
それぞれのカドリールでの思い出とともに、当社の歩みを感じ取っていただければ幸いです。
第1回目のシリーズは、勤続36年の営業企画室室長 蛭川伸子氏にカドリールとの歩みを語ってもらいました。
今回は2回目、当社のパターンの原型を生み出したパタンナー兼デザイナー 堀江昭二氏との仕事を振り返ってのお話です。

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  • §2 繊細な手作業から始まったデザイン室勤務 

aspengrovestudios icon正確な「縫いしろ」が下着の設計を生かすということ 

入社当時のデザイン室では、まず型紙づくりをサポートする仕事につきました。
はじめに学んだのはライン通りに厚紙を切ること、鉛筆の細い線の内側ギリギリを断面が垂直になるように!
指で切り口をなぞるチェックを何度も受けて、ガタツキがあればやり直しでした。厚紙切りに慣れてくると、次に縫いしろつけを教えてもらい、先輩の引かれたパターン線に、正確な幅で縫いしろをつける作業を覚えました。縫いしろと言えば、アウターでは通常1~1.5cm、コートや厚地の素材では2cm以上つけることもよくありますが、ブラジャーでは主に5~7mmです。カップ上下接ぎなどカーブを描くところでは4mmにすることもあって、少しでも切り込んでしまうと3mmの縫いしろくらいに狭くなる・・・するとそれはもう、設計されたパターン線に仕上がらない型紙です。当然やり直しでした。「正確な縫いしろをキープすること」、そしてもちろん「縫いしろ通りに縫うこと」が、何よりも設計を生かすために重要なんだ!と学んだ瞬間でした。

aspengrovestudios icon型紙作りから染色まで

当時は、パソコンもスキャン技術もありません。試作はもちろん、工場出しの型紙もすべて手作り!
今はCAD・CAMで簡単に送れますが、裁断用のスリップの型紙は輪の状態なのでとても大きな面積になり、例えば4サイズ×3丈あると前身頃だけでも12枚。当時は元になる型紙を目打ちでなぞり、合印をしるししてから切り、縫いしろのゴム印押し、品番や地の目の記入・・・いったい何枚の型紙を切って工場へ出荷したことでしょう!
サイズ展開が多いブラジャーは小さなパターンがいっぱい、仕上げた型紙の枚数はとても想像できない量だと思います。いろいろなデータ保存や送信が可能な現在からは想像もできない世界ですね。

当時のデザイン室風景  手作りの型紙  型紙用のハンコ

また、デザイン室の一角に染め場を設け、百貨店ブランドの展示会サンプルのために身生地から、レースや副資材をまとめて染色していました。素材に合わせて染料を使いわけ、生地は大きな鍋でぐるぐる混ぜながら煮て、アジャスターは茶こしに入れて染めたり・・・資材の種類が多いので色合わせが難しかったです。その分、色がきれいに揃い出来上がったサンプルを送り出す時は、とても嬉しいものでした。

aspengrovestudios icon当社パターンの原点を創り出したデザイナー「堀江先生」の思い出

当時のデザイン室は人数も少なくこじんまりして、堀江先生を中心に皆が助け合いながら、チーフのもとで仕事を分担して進めていました。
カドリールニシダの「サイドサポート理論」は堀江先生の発想で生まれたものです。先生の一本筋の通った考え方は営業や資材、サンプルチームなど全社におよび、何かにつけて色々なメンバーが先生のもとに相談に来られていました。
ものづくりの考え方、相手先へのプレゼン方法、商品の扱いに方など、いつも丁寧に対応されていました。ただ話によっては、そばにいて震え上がるほど厳しく諭される時も・・・。反面、私たちデザイン室のメンバーには、少し照れながら奥様やお嬢様のお話をされたり、甘いものが大好きでいらしたので、よく「あんこのお風呂に入りたい・・」などと冗談を言われたりして、皆を笑わせて下さる場面もあって、厳しい中にもとても愛情深い方だったと記憶しています。

leaves icon印象に残っている堀江先生の言葉

  • leaves iconカット線はデザイン線

    パターンに入れる一本の線は構造線(からだの立体に必要な切り替え)であり、それを見たときに美しいと感じ、着る人を美しく演出するデザイン線でなければならない。この言葉は今も私の心の中でしっかりと生きています。

    leaves iconファンデーションの設計とは布の力を最大限に生かすもの

    からだに違和感を与えず体形を補整し、楽な着けごこちを可能にする設計。その技術は先生が生涯追及されたものであり、からだを第一に研究されていた先生らしいお言葉だと思います。

    leaves iconブラジャーは時と場で付け替えるもの

    先生が大切にいつも持っておられた海外雑誌の1ページがありました。垣間見たのはブラジャーの種類と着ける場面のイラスト。胸元を見せるドレスにはデコルテを盛り上げるバルコネットブラ、シャキッとしたブラウスには高さを出すフルカップ、セーターにはナチュラルなシルエットのダーツブラ、そんな内容でした。先生は「ブラジャーは寄せて上げるだけではなく、時と場で付け替えて楽しむものだ!」と常々おっしゃっていました。

先生のお言葉はたくさんあり、いろいろな場面でふと蘇ることも。今も私の仕事の根幹にあり大切な想い出です。

次回は、ツインクロス誕生の秘話から現在までを振り返りたいと思います。

【第1回 カドリールニシダとの出会い】こちら
【第3回 ツインクロス誕生】こちら
【第4回 ツインクロス拡大】こちら
【第5回 今後も提案力のあるOEM企業であり続けたい】こちら

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