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2022.12.01 | コラム&社員インタビュー《55周年》

【55周年記念コラム】Series1(3)

お陰様でカドリールニシダは今年で創立55周年を迎えました

この節目に当たり、現在まで長年カドリールと歩んできてくれたパタンナーやデザイナーに感謝の気持ちを込めて、バトン形式でカドリールでの思い出や今後への期待を語ってもらうコラムを掲載いたします。
それぞれのカドリールでの思い出とともに、当社の歩みを感じ取っていただければ幸いです。
第1回目のシリーズは、勤続36年の営業企画室室長 蛭川伸子氏にカドリールとの歩みを語ってもらいました。
今回は3回目、当社のブランド『ツインクロス』の誕生についてのお話です。

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  • Profile 蛭川 伸子(勤続36年)
    1985年入社、デザイナーとしてデザイン室勤務。
    1990年よりデザイナー兼マーチャンダイザーとして、市場分析や得意先に向けた企画提案にも携わるようになる。その後、中国での事業展開における商品企画から販売員指導まで幅広く担当。
    2004年からツインクロス商品の販売でQVCジャパンTVショッピングに出演し、カドリールの顔として商品のこだわりを伝え続ける。
    現在は営業企画室長として、業界全般のリサーチや、マーケティング視点を持ったMD業務を担い、新規得意先開拓や新たな企画開発提案に取り組んでいる。

§3 ❝ツインクロス”誕生

aspengrovestudios iconツインクロス❞の誕生

ツインクロスが生まれるきっかけは、今から20年以上も前のこと・・・
当時市場規模を拡大し続ける大手量販店の、インナー部門を統括する名物バイヤーからのお声がけでした。
「着心地の良さで実績のあるブラジャーを、自分の売り場に置きたい、地方の方でも手にとれるようにして、多くのお客様に届けたい」というご提案です。
しかし、当時私たちがお納めしているブラジャーの価格は、量販店の販売価格の4~5倍でしたから、この取り組みは途方もない価格への挑戦です。

さらにこれまでの試着をお勧めして丁寧に説明する販売方法とは真逆の、セルフという売り方へのトライでもありました。ハードルはとてつもなく高かったんです。
けれど、カドリールにとって、女性の身近にある『量販店の売り場』は、たくさんの女性に商品を広めていけるマーケットで大きな魅力です。社内で色々と協議を尽くした結果、この機会に是非チャレンジしよう、いやするべきだ、との判断となり、私が中心になって積極的に開発を進めることとなりました。

aspengrovestudios iconツインクロスの発想

丁寧な商品の説明がなくても、売り場の陳列を見ただけで手に取っていただけるもの、そして 使って下さる方々のバストを心地よくきれいに整え、さらにもう1枚欲しいと思っていただける商品・・それらをコンセプトのコアと考え、商品の形や機能をどうすべきか、素材は何を使うのが良いのか、セルフで販売する体型補整の下着という新たな分野への挑戦として、アイデア出しから構造までをトータルに考えはじめました。
ツインクロスの代名詞ともいえる、アンダー部を別々に支える独自の構造ですが、そこに至ったその発想のもとは・・・ひたすら「売り場で目を引く見た目にすること」でした。ちょっと拍子抜けしてしまいますね(笑) そして見た人が「興味を持って手に取りたくなる」少し不思議な感じがする、でしょうか。もちろん「からだにとって良い機能がある・・」 といったさまざまな商品への想いがあってなんですが。
一般的にブラジャーはカップ部分にデザインや機能を持たせるのが主流なので、あえてカップではなく土台のところに目をつけて発展させて出来上った、それがツインクロスの構造なんです。

aspengrovestudios iconツインクロスという手軽な補整下着の誕生

考えたアイデアをデザイン画にアップし、型紙づくりからサンプルへと進んだのですが・・なかなか順調には行きません。そこで待ち受けていたのは、設計も縫製も思いのほか複雑で困難・・。アンダー2枚重ねは前例もなく難しかったからでしょう。なんと!!最初に上がったサンプルは、デザイン画に似て非なる、アンダー部一枚の普通のブラジャーだったんです。その時のショックは今も忘れられません。
普通のブラでどうすれば買ってもらえるの? いや、あの特長がなければダメではないか、セルフの売り場で価格が高いだけで素通りされてしまう・・私は必死になって担当のパタンナーやサンプル班のかたたちのもとへ行き、諦めずに何とか開発してほしい・・この二重構造はこの商品の必要構造なんだ、と理由を説明してまわりました。


それから数週間各部門のスタッフが、既成概念を取り払って検討を重ねてくれた結果、現在のスタイルのツインクロスブラが完成します。そして、この構造は自社販売の商品として育てる上で、ぜひ特許を取るべきだとの意見から、すぐに申請手続きを行い、スムーズに特許を取得することが出来ました。
大きかった価格の壁はバイヤーの提案により、量販店価格として画期的な売価2,900円と決まり一気に解消しました。セットアイテムも含めた本格的な商品の開発、モニタリングや縫製の検討~生産期間を経て、ついに量販店の下着売り場の中央、3つ連ねた什器全面にブラ、ガードル、ボディスーツなどの5アイテムを揃えた、フルラインナップのツインクロスが登場しました。
量販店で初となる本格的な体型補整下着の販売です。堂々とした面構えとも言える高級感のある素材やレース使い、立体的なカップシルエットや仕上がりの良さが目を引き、売り場に競合メーカーが視察にくるなど、業界の中でちょっとした話題になったことを覚えています。

 

次回は、<ツインクロスとテレビショッピングの出会い>です。

【第1回 カドリールニシダとの出会い】こちら
【第2回 デザイン室勤務】こちら
【第4回 ツインクロス拡大】こちら
【第5回 今後も提案力のあるOEM企業であり続けたい】こちら

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