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2022.03.11 | コラム《会社紹介》

伝えてきたもの 伝えてゆくもの #07

  • 最終回

 

これまで、弊社会長 西田清美の本「ブラジャーで勲章をもらった男」の内容に沿って、創業以来、今も受け継がれている弊社のものづくりの考え方の原点や、それを代表する製品に活かされたこだわりについてご紹介する内容を連載してきました。

最終回となる今回は、この本をまとめていただいた田渕由美子さんの書かれた「はじめに」をそのまま掲載します。

最終回なのに手抜きか⁈という声が聞こえてきそうですか、そうではありません!!笑

このコラムを読んで頂いている方に、この本の魅力をどのように伝えていけばいいのかそれなりに悩みました。そうやってこの本を何度も何度もめくっていると、冒頭の田渕さんの書かれた「はじめに」がこの本の紹介としては断然すばらしいと思うに至ったという次第です。なので一応考え抜いた末(?)の「はじめに」の紹介です。

さあ存分にお楽しみください(笑)。

https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-786069-6

はじめに

あなた(奥さまや彼女)はクローゼットの中に何枚のブラジャーをお持ちでしょうか?
5枚?10枚?もっとありますか?
それらはバストにぴったり合っていますか?
窮屈で締めつけられるような感じはありませんか?
カップの脇からお肉がはみ出したり、ストラップがしょっちゅうずり落ちてストレスを感じていませんか?
腕を上げるとアンダーも一緒に上がってしまうので、トイレに行くたびにこっそり引っぱり下ろしたりしてはいないでしょうか?

毎日着けるブラジャーなのに、ちっとも快適じゃない。家に帰りついたら真っ先にはずしたいのがブラジャー。そんな女性は多いはずです。それは間違ったブラジャーを着けている、もしくはサイズが合わないなど、身体にフィットしていないものを着けているからです。身体に合った良いブラジャーは締めつけられているという感じがなく、それでいながら肌にぴったりとより添ってバストを支え、ずれることなくどんな動きにもついてきてくれます。女性の胸の形は人それぞれ。大きい人もいれば小さい人もいて、それぞれに垂れていたり、広がっていたり、お椀形だったり、釣り鐘形だったりします。千人いれば千通りのバストがあるわけです。
さらに、柔らかなバストはじっと同じ形ではいてくれません。手を上げたり、回したり、身体を捻ったりしてみてください。バストが身体の動きにつれて変形するのがおわかりでしょう。千差万別のバストラインを美しく整えながら、動きにも対応させ、なおかつ前述のようなブラジャーを巡るストレスから女性を解放するということは、実は非常な難題なのです。
この本はその難題に挑み、「日本で一番のブラジャーを作ろう」と奔走した西田清美という男性のお話です。
彼は若き日、戦後草創期のワコールで働く中でブラジャーに出会い、その後の紆余曲折を経て三十八歳で「カドリールニシダ」という下着会社を興します。

カドリールニシダは、ワコール、トリンプに次ぐ百貨店売上三位のブランドを有する下着会社ですが、社名をご存知の女性はあまりいらっしゃらないかもしれません。それはここが創業以来長らく「OEM(Original Equipment Manufacturing)」という業態で仕事をしていたからです。
OEMとはブランドメーカーからの依頼を受けて商品を企画開発製造するというもので、出来上がった商品は依頼先のブランド名で売り出されるため、カドリール ニシダの名前は表に出ません。残念なことにタグにも打たれませんが、縁の下の力持ちとしてカドリールニシダのようなOEMメーカーが作る商品は、国内外を問わず、百貨店・量販店・下着専門店・通販・ウェブ ショップ等の販路で、いろいろなブランド名で皆さんのお手元に届いているはずです。
言ってみれば縁の下の力持ちの時代が長かったカドリールニシダですが、最近では独自ブランドとして百貨店でヨーロッパティストの「ランジェリーク」を展開。その他、「キッドブルー」「セモアブライダル」「ツインクロス」など、OEM事業から進展した自社製品の数々を皆さまに提供するようにもなりました。
長年の女性下着事業への功労が評価され、西田清美は平成二十三年の秋の叙勲で藍綬褒章を受章しました。
この本は八十四歳になる西田の半生と、カドリールニシダの半世紀をまとめたものですが、実は、「ブラジャーについての正しい知識」を女性に知っていただくための本でもあります。
帰宅したら真っ先に脱ぎ捨てたいなんてとんでもない。本当に身体に合った良いブラジャーは、着けていてとても楽なものです。いったんその気持ち良さを知ると、着けずにはいられなくなるのが良いブラジャーというものなのです。
ぜひあなたもこの本を読んで、ブラジャーの意味深さを知ってください。そしてご自分に合った良いブラジャーを探してください。良いブラジャーを着けていると、美しいバストが育ちます。ひとりでも多くの女性に美しいバストを手に入れていただき、美しく装っていただくことが彼の生涯をかけた願いであり、ロマンなのです。

この本をまとめた 田渕由美子

いかがでしたでしょうか?
7回にわたり、お送りしてきたこのシリーズ、お付き合い戴きありがとうございました。
『ブラジャーで勲章をもらった男』(集英社)には、ブラジャーやインナーウェアの歴史やそのモノづくりに興味のある方には今回のお話し以外にもまだまだたくさんの興味深いエピソードが詰まっています。
是非一度手に取って読んでみてください。
今後も、弊社のものづくりの現場からのコラムを、また違った視点でお届けする予定です。またチェックしていただければ幸いです。

今回以前のコラム
伝えてきたもの 伝えてゆくもの #01 | カドリールニシダ (quadrille.co.jp)
伝えてきたもの 伝えてゆくもの #02 | カドリールニシダ (quadrille.co.jp)
伝えてきたもの 伝えてゆくもの #03 | カドリールニシダ (quadrille.co.jp)
伝えてきたもの 伝えてゆくもの #04 | カドリールニシダ (quadrille.co.jp)
伝えてきたもの 伝えてゆくもの #05 | カドリールニシダ (quadrille.co.jp)
伝えてきたもの 伝えてゆくもの #06 | カドリールニシダ (quadrille.co.jp)

 

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